呼び名の間違い、さえずり、ツガイの絆etc

Birdsinging

オシドリ夫婦は間違い、メジロが生涯連れ添う

  オシドリ夫婦は仲が良いは全くのウソ。
   例外はあるが、①野鳥全般的に巣作りや抱卵やすべてメスだけで行います。一生涯連れ添う野鳥は極めて少ない、約90%の鳥は短期一夫一婦制。  オシドリは巣作りも主にメスだけで行い、メスが抱卵を始めるとエサ運びもしないでオスは別のメスと交尾を繰り返すという。 常にオスがメスを追いかけているので仲が良いと間違われている。
  一方で一生同じ鳥とつがいになっているものもいる。比較的大型の鳥でタカ類、ツル類、ガン類、ハクチョウ類、アホウドリ類など
 ②オシドリの間違いは、中国の故事「鴛鴦(エンオウ)の契り」の昔話を誤解したためです。殺された恋人同士が隣あった墓に埋葬され、両方から伸びた樹木にオシドリが巣を作ったというだけ
   ③一生涯連れ添う野鳥のうち身近なのはメジロと言われている、エサ探しも必ずペアで来ます、単身でくるのがいると何かあったのかなと思ってしまう。
 抱卵や子育てはペアで一緒にする鳥は多数います、シジュウカラも巣作りはメスがすると書かれているが、手伝うオスもいる。 我が家の巣箱に毎年違うシジュウカラがくるが、様々ですね。総じてメスのほうが度胸がよく、オスは人間が近くにいるとビクビクしているのが多い。私がシジュウカラのオスのランク付けをすると、抱卵中のメスへのエサ運びまでするのがA級、1日6回も食事に誘いにくるのがB級、1日3回程度はC級、子育てのためのえさ運び回数が少ないD級もいる
ツガイの相手を選ぶキーは大半はメスがもっているという、巣作り・子育てへの協力の悪いオスは嫌われ、次回は敬遠されるそうです。毎年というかシーズン内でも2回目、3回目子育てする種類も結構いる、小型の野鳥は産卵した卵の2~3割が生き残る程度、何回か産卵しないと子孫を残せない
  面白い参考書「おしどり夫婦ではない鳥たち」濱尾章二著 岩波書店 
 野鳥の中にはオスメスの産み分けができる種がいるらしい。シジュウカラでは、オスの胸の黒いネクタイが太い場合に、メスはオスの子を多く産むようになる。ネクタイの太いオスは生存力が高いから、その息子も父親に似て子孫繁栄が期待できるから産み分けをする。オオヨシキリなどでも産み分けをするという調査結果があるそうです。
 

海外の似た鳥、呼び名の違い

コウノトリ はクチバシが黒い。欧州のコウノトリと呼ばれるのはクチバシが赤く足の色も赤味が強くコウノトリより小さいシュバシコウ朱嘴鵠です。ポーランド、ブルガリアなど欧州で太い煙突の上や電柱の上に巣を作っている、シュバシコウはコウノトリとは別の種類の鳥です。 「シュバシコウが赤ちゃんを運んで来る」はドイツの民話で子供が生まれなかった夫婦の家の煙突にシュバシコウが巣を作った、可哀想なので我慢して焚き物をしなかった所、巣立ったあとに夫婦に子供が生まれたというのが元ネタです
 

キツツキ、シラサギ は総称 

キツツキとは アオゲラ、アカゲラ、コゲラなど樹木に嘴で穴をあける仲間の総称です。英語でも木を突くWoodpeckerと呼ばれる。
シラサギとは ダイサギ、チュウサギ、コサギなど全身が白一色のサギ類の総称です。
 

「夜はみえない鳥目、ニワトリだけ」野鳥の視力は抜群

 「鵜の目鷹の目」で探すという例えがあるが一般的に野鳥の視力は抜群です、それらは生きていくため、葉っぱの中の青虫、海面下の魚、が見える、また捕食者に早く気付くため 
  暗視力、色彩感覚、遠視力、視野の広さ、動態視力
・暗視力  … 夜間にエサを見つける、フクロウなどは特に優れる 
・色彩感覚 … 人間は3色分解、鳥は紫外線まで見える。青・緑の領域が広い
・遠視力  … 上空から水下の魚がみえる
・視野の広さ… 大半の野鳥の眼は頭の両側にある
・動態視力 … 空中の虫、鳥などを飛びながら捕まえる
 ※人間でも、アフリカのハッサ族は視力が11.0も見えるらしい?
臭覚は劣る、空を飛ぶための工夫
・臭覚… カラス、ハゲタカはごみ処理人です。悪臭をものともせず臭いものを食べる。それは臭覚をつかさどる脳の嗅球が極めて劣化している。他の野鳥も臭覚は弱いが捕食者の匂いには敏感
・体重を減らす(1)…骨の中は空洞、骨は軽く、しなやか
・体重を減らす(2)…尿とフンの排出は一緒、フンの白い部分は尿
酸素の薄い場所でも呼吸困難になりにくい肺…人間は吸う空気と吐く空気が肺の中で混じってしまうのに、鳥は前気嚢(ぜんきのう)と後気嚢(こうきのう)に分かれていて混じらない
ツバメたちは3,000メートル級のアルプスを越えて南へ移動したり、シベリアコウノトリは6,000メートルのヒマラヤを越えるという、人間は3000メートル超えると息も絶え絶えです
 

春告鳥、夏告鳥、秋告鳥

 鳥の識別はもちろん姿ですが、遠くで良く見えない時は鳴き声も加えて識別します。 でもよほど特徴がないと覚えられません。昔の人は鳴き声を「聞きなし」といい、こじつけともいえる言葉をあてはめています。
 このうちメジロ、イカルについては私は殆ど鳴いたのを聞いたことがない、昔は身近に野鳥が沢山いて鳴いていたのかな、ちなみにツグミという鳥は、殆ど鳴かないので「つぐむ」がなまったとも言われる、たしかに何回か庭に来て地面をゆっくり歩いていたが、鳴かなかった。
この中に季節を告げる鳥がいます、春を告げるウグイス、メジロ、最近激減したように思うヒバリ。夏を告げるホトトギス、カッコウです。なお秋を告げる鳥はモズだそうですが、鳴き声は「ギュンギュンキーキー」あまり心地よい声ではない。日本列島は南北に長いので地域によって季節に来る鳥は様々です。 軽井沢近辺では晩秋に胸腹が橙色のジョービタキが目立ちます。
ウグイスとメジロはよく一緒にやってきて、ウグイスは茶色ぽく樹木の影にいて目立たないので、ウグイス色したメジロをウグイスと思っている人は多数いると思う。
図鑑の鳴き声は関東弁、「北海道ではウグイスはホーホケペチョ」野鳥にも方言があり日本国内でも鳴き声が微妙にちがうという。著者は大半が軽井沢や日光、富士山の裾野などで収集したので、野鳥が関東弁だという。イカルの「お菊二十四」は軽井沢での話、日光ではそう聞こえない。日光と軽井沢なんて近いのに、 したがって他の地域の人にとっては市販書籍もあてにならないらしい。
「さえずり」とは「繁殖期の小鳥の雄の(美しい)鳴き方」とある。「さえずり」の英語翻訳でchirp、tweetはガヤガヤうるさいイメージがあり、日本語のイメージにあうのはsing。求愛のさえずり以外は「地鳴き」と呼ばれる。
 

種類漢字聞きなし
ウグイス 法華経ホウケキョー
ホトトギス 特許許可局トッキヨキョカキヨク
センダイムシクイ 焼酎一杯ぐいショーチューイッパイ
コジュケイ    チョツトコイ
フクロウ五郎助奉公ゴロスケホーコー
コノハズク仏法僧ブッポウソウ
キビタキ  オーシンツク
メジロ長兵衛忠兵衛長忠兵衛チョウベイチュウベイ
ホオジロ一筆啓上仕り候   
イカル 蓑笠着い ミノカサキイ 
コノハズク仏法僧ブッポウソウ

シジュウカラの言葉

シジュウカラの鳴き声を研究した鈴木俊貴(京都大学白眉センター特定助教)さんは16年に渡り、軽井沢の森の中でシジュウカラの鳴き声を研究した。NHKで何回か放映された。シジュウカラには175種を超える音声の配列(鳴き声の順序で意味が違う)があるという。その一部を転載。 
最近、私の設置したキビタキ用巣箱にキビタキがヒナを孵したのを発見したと喜んだのに、 翌日キビタキ数羽がすごい鳴き声がした、あとで巣に近づくとヒナの姿は消えていた。鳴き声の意味が解ったら助けてあげたのに残念、
「ピーツピ、ヂヂヂヂ」など、けたたましい鳴き声の時は、なんとか助けてあげて。
A周囲を警戒ピーツピ
B 接近 ヂヂヂヂ
C 大変だよ、警戒しながら集まれピーツピ、ヂヂヂヂ
D 警戒も、接近もせずヂヂヂヂ、ピーツピ
E ヘビが来たぞ、ジャー、ジャー

エサ運びは重労働、野鳥はメスが短命

 シジュウカラがヒナを育てるために行う給餌行動は、樹木の中から青虫を見つけて巣箱に運んでくる、巣箱の余り近くでエサ探しをすると外敵に巣箱を狙われるので、少し離れた場所と巣箱を往復する。
 その回数を調査した1つは「孵化から巣立ちまでの約17日間に約4000回」、2つ目「1時間に平均13.5回」、オスメス2羽で約5分間隔で巣箱を出入することになる。 私も数時間数えたことが何回かあるが3分~8分間隔で出入する。
 葉っぱの裏側に青虫がいるが、青虫と呼ぶがほぼ緑であり、人間には見つけにくい。青虫にすれば保護色で葉っぱの色に合わせたが野鳥には通用しない、人間の色識別能力は赤R緑G緑B青の光の三原色と習ったが、野鳥はプラス紫外線UVだそうである。そのため、野鳥は青虫を見つけやすいのだそうだ。
   給餌行動の厳しさを知れば、エサ運びに非協力的なオスは敬遠され、シジュウカラは1シーズンに約3回子育てするが、その度にメスは相手を替え、もう少し良いオスはどれ?と探してるのであろう。野鳥の世界もイクメンがモテるようです。
 メスがオスを選ぶ、ヒナを育てあげるため(子孫を残すため)、よいナワバリをもつオス、外敵から逃れる能力が高く、病気にも強いオスとツガイになろうとします、外見が貧弱なオスは最初に敬遠されます。
A野鳥の約9割は一夫一婦です。
子育ては大変だから野鳥の約9割は一夫一婦です、でも一夫多妻の野鳥がいる、それはキジ、ウグイス、オオヨシキリ
逆に一妻多夫の野鳥がいる、それはタマシギ、イソシギ、コバシチドリ、レンカクだと言われています。野鳥の大半はオスのほうが目立つ形、色彩ですが、タマシギはメスのほうが大きく目立つ色彩だと言われている。
   野鳥は構造上、交尾はメスが拒否したらオスは交尾できない。だからメスが強い
B野鳥はメスが短命 
哺乳類は総じてメスのほうが長命だが、野鳥はメスのほうが短命。その理由①は抱卵は主にメスが行い、巣にいる時に捕食者に襲われる、理由②抱卵中は熱を上げるためにエネルギー消費が1.6倍と多いためではないかと言われている。
これらについての記載は濱尾章二著「おしどり夫婦ではない鳥たち」、上田地域自然電子図鑑・香川敏明「鳥の婚姻関係」に記載があります。ウグイスは竹藪の中など目立たない場所に生息しており、姿も見分けにくい、また地面に近い処に巣作りするので、外敵に狙われ易く産卵したうち約2~3割しか巣立ちできないという。

 

非公式な国鳥キジ。メジロを国鳥にしましょう

 キジ目キジ科に属し、全長オスが81 cmほど、メスが58 cmほどである。身近な野鳥としては最大といってもよい。日本のキジは毎年、愛鳥週間や狩猟期間前などの時期に大量に放鳥されているそうだ。2004年度には全国で約10万羽が放鳥され、約半数が鳥獣保護区・休猟区へ、残る半数が可猟区域に放たれている。これにより、キジは年々増加しているように思う。軽井沢周辺等で禁漁区であると思われる別荘地・住宅地ではケーンケーンと鳴き、姿もよく見せる。禁漁区だと知ってか人間をあまり怖がらない。5メートルほどの近くまで近づいてくる
 ユーラシア大陸が原産地であるコウライキジが、もともとキジが生息していなかった北海道、対馬、南西諸島などに狩猟目的で放鳥され、野生化している。従来からいるキタキジ、トウカイキジ、シマキジ、キュウシュウキジの4亜種が自然分布していた。とのことで全国に5亜種いるという。
 日本鳥学会という会員数約千人の学者の集まりが1947年にキジを国鳥と認定?、何で敗戦後のまだ講和条約も締結してない時に慌てて認定したのか? 野鳥の約90%は一夫一婦なのに一夫多妻、おまけに捕獲して食用にする鳥を国鳥に選ぶとは疑問である。法律や国民投票で決めたわけではない。フランスもオンドリ(雄鶏)が非公式な国鳥、ニワトリの祖先はキジ科の鳥である、やはり正式に法律で決めかねるのであろう。 多数の国があいまいな国鳥が多いらしい。珍しく米国は先住民族が聖なる生き物としていたハクトウワシを1782年に議会で選定したとのこと。
 英国では1965年にロンドンタイムズの人気投票で一位になったことがあるが、ヨーロバコマドリ(European robin)が非公式な国鳥だという、英国では留鳥であり人家近くの林に生息し、警戒心が弱く人を恐れないという。日本も留鳥で人懐っこく、一生涯連れ添うメジロ(学名 Zosterops japonicus)を国鳥にしましょう。 学名から察するに日本にいるメジロは日本地域特有らしい。

 

托卵するカッコウたち

tokei  托卵と言って他の種類の巣に卵を1個産み付け、そのヒナは生まれると他の卵を蹴落として、自分だけが育ての親の世話になる。カッコウ目カッコウ科の野鳥多い。卵産み付けた側は育児放棄、育ての親はなんで騙されるの?、これで有名なのはホトトギスです、平安の時代からウグイスに托卵している、他のカッコウ等は歴史的地域的に托卵先の鳥を変化させているそうです。
 表にあげたのはカッコウ科の4種、よく似ているお腹に横線がある、メスの鳴き声も「ピピピ」、ジュウイチだけは上面が青灰色でハイタカに似ているので英語名はHawkCukoo、いずれにしろ我が庭に降りてくることはない、夏になるとカッコウの鳴き声だけは朝方によく聞こえてくる
 日本では「ハト時計」がありますが、ドイツの黒い森地方が発祥の地で「カッコウ時計」。ヨーロッパでは、カッコウが春を告げ幸運をもたらす鳥とされていることもあり時報が「カッコウ」だそうです。日本ではカッコウは閑古鳥とも書かれ、これでは縁起が悪いと日本国内で模倣品を製造した時にハトに変えたそうです。ドイツ南西部のSchonach村に「Weltgrößte Kuckucksuhr」(世界最大、カッコウ時計)があるそうです。
 教科書に出てくる話に間違いは多い、「アリとキリギリス」も原作は「アリとセミ」原作の南欧にいたセミが北ヨーロッパで当時見慣れたなかったので翻訳でキリギリスに変更した。そのためキリギリスがしない行動が書かれているという。 
セミと言えば「セミは土の中に7年、羽化して1週間」が教科書に載っていたらしい。こんな間違い誰が書いたのか?、ツクツクボウシで1〜2年、アブラゼミで3〜4年、クマゼミで4〜5年くらいが本当らしい。教科書が間違っていることは多い、外国には7年でなく17年のセミもいるとのこと。
   ノーベル生理学・医学賞受賞の本庶佑いわく、「人が言っていることや教科書に書いてあることを全て信じてはけいない」「ネイチャー、サイエンスに出ているものの9割はウソ10年経ったら残っても1割しか残らない」はまさに名言。
 

種類体長cmオスの鳴き声托卵先
カッコウ 33~36カッコウオオヨシキリ、モズ、オナガ
ホトトギス 27トッキョキョキョカウグイス
ツツドリ 32ポポッポポッムシクイ類、ウグイス類
ジュウイチ 32ジューイチオオルリ、コルリ、ルリビタキ

2023年11月12日修正

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